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~coffee break~
カンボジア最新情報(2019.08)


 今回は英会話を少しお休みし、カンボジアの現状とともに、私が関わっている事業について少しご紹介したいと思います。

 既にご存知かと思いますが、カンボジアには悲しい歴史があり、約40年前のポル・ポト政権時代には国民の約4分の1が犠牲になったともいわれています。何もかもが失われ、ゼロからの復興・復旧には、国連をはじめたくさんの国や機関が関わっており、今も200を超える団体が各地で支援活動を続けています。日本も国際協力機構(JICA)をはじめ、さまざまな団体がこちらで活動をしており、その活動範囲は地雷の撤去作業からインフラ整備、農業開発まで多岐にわたっています。

 私も現在こちらのNGOで活動しており、子どもの栄養改善を目指した事業に主に取り組んでいます。この栄養改善は国連で採択された持続可能な開発のためのグローバル目標(SDGs:Sustainable Development Goals)の中にも含まれています。カンボジアは、東南アジア諸国の中でも特に栄養不良の子どもの割合が高いといわれていて、5歳未満の子どもの3人に1人が発育阻害、4人に1人が低体重であると報告*されています。そのため、栄養状態の改善に向けた取り組みが必要とされているのです。

 ところが、この国には栄養士もいなければ、栄養を学ぶことができる教育機関もありません。問題を抱える子どもが多い上に、この状況は課題解決をより困難にしています。栄養不良の子どもが多い原因の根底には貧困問題もありますが、実際にはそれだけではなく、水や衛生、生活環境、教育、保健など、実にさまざまな要素が絡み合っています。

 現在、私が関わっている事業では、学校での保健・栄養教育の普及活動を中心に行っています。具体的には、管理栄養士として、この地における栄養問題の分析をし、カンボジアの教育省とともに生徒や教員向けの教材を開発・作成しています。また、指導者を育成するための研修やトレーニングも行っています。こちらに来て2年が経ち、見た目はカンボジア人と間違われるようになったものの(笑)、公用語のクメール語が話せないので、私は現地のスタッフと英語でやり取りし、その後、彼らがカウンターパートの政府職員や学校職員に通訳・説明してくれています。

 



 ここで活動していて感じることは(栄養という分野に限ったことではありませんが)、人材育成の重要性です。より多くの子どもたちが質の良い教育を受けるには、やはり教員の質の向上以外にあり得ません。しかし、現実は教員免許制度もなく、教員養成課程もまだ十分ではないうえに、教員向けの研修もないため、指導者の知識・技能レベルも限られています。指導者育成はとても時間がかかることで、容易ではありません。実際、なかなか計画通りに進まないことが多々あります。まだ先が長く、気が遠くなりそうなのですが、周りにいるスタッフが徐々に栄養に関する知識を身につけて、頼もしくなっていく姿に励まされています。また、たまに訪れる学校で作成した教材を熱心に見てくれる子どもたちを見ると、やりがいを感じます。一人でも多くの子どもの栄養状態が改善されることを目標に、もう少しの間、ここで頑張っていきたいと思っています。

*カンボジア人口健康調査(CDHS)2014年版
 https://dhsprogram.com/pubs/pdf/FR312/FR312.pdf

関西Actualizers(アクチュアライザーズ) プロフィール

2015年4月設立。経験を通じて、「海外留学や海外生活を考えている人たちの背中を押したい」と考える関西のグループです。 海外生活をする、外国人を迎え入れることにあたって知っておくと良い事や役立つ情報などを発信しています。
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