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~coffee break~
カンボジア最新情報(2023.12)

 スォスダイ!関西AcutalizersのEllyです。
 8年にわたってお届けしてきました私たちのコラムも、今回で最終回となりました。現在も、私はカンボジアで仕事を続けており、日本に本帰国するのは、もう少し先になりそうです。投稿の方が先に最終回を迎えることになってしまいましたが、少しでもカンボジアのことを身近に感じていただけるきっかけになっていると嬉しく思います。


 2023年のカンボジアは、歴史的に大きな出来事が続きました。前回お伝えした、東南アジア競技大会の開催もそうですし、その後は4年ぶりに国政選挙が行われ、およそ40年にわたり首相を務めていたフン・セン首相が退任し、その息子であるフン・マネット氏が新しい首相となりました。世襲政権とも呼ばれる新閣僚は、首相を含め30~40代の若い世代が多く、欧米諸国での留学経験を持つ大臣が多くいます。内戦やその後の復興過程を経験してきた世代と、かなり違った雰囲気となり、国内外で大きな注目を集めています。この様にどんどんと若い世代が活躍し、さまざまな課題が解決されると共に、国が発展していくといいなと期待しています。

 さて、私がカンボジアで生活を始めて、実に6年半が経つのですが、その間、ものすごい速さで街の様子が変化していくのを目の当たりにしてきました。街中の道路に信号機が設置され、高速道路も開通し、どんどんと建設される高層ビル群。イオンモールも1店舗だったのが3店舗に増えました。プノンペンを訪れる友人は、必ずと言っていいほど「こんなに都会だとは思わなかった」と口にします。また最近、特に変わったと感じることは、「現金を使わなくなった」ということです。ここ数年でカンボジア国内は、随分と電子決済サービスが普及しました。

 カンボジア政府は、2014年に行政改革の一環として、公務員の給料を銀行口座へ振り込む制度を開始しました。そこから、10年間で銀行口座をもつ人が増加しましたが、それ以上のスピードでQRコードによる電子決済システムが広がっています。意外に思われるかもしれませんが、現在は首都だけでなく、地方の小さな屋台や食堂、トゥクトゥクの支払いまで、QRコード決済ができてしまうのです。VisaやMaster Cardなどのカード決済よりも普及し、日本よりも早いスピードで進化しているのではないでしょうか。特に、コロナ渦において、他国同様にカンボジアでも電子決済サービスが注目されました。紙幣の受け渡しによる感染リスクを避けるため、スーパーマーケットやレストランなどが電子決済サービスを導入し始めたことに加え、公共料金の支払いもできるようになり、今ではコンタクトレスで納税もできるようになっています。以前は各銀行が独自のQRコードを発行していたのですが、昨年、カンボジア中央銀行が国内銀行間共通QRコード「KHQR」というものを発表し、使用され始めました。現在は20以上の国内主要銀行が加盟し、その間では相互決済が可能になっています。このネットワーク内であれば手数料も無料であることが多く、送金なども即時に簡単にできるようになりました。私は、ほとんど毎日、トゥクトゥクを使用して移動していますが、アプリで予約し、支払いも電子決済で済ませます。2017年にこちらに来た時とは大違いです。その頃は、トゥクトゥクやタクシーの配車アプリがまだなく、止まっているトゥクトゥクに行先を告げて、値段を交渉しないといけませんでした。交渉が億劫になることも多く、出かけるのが面倒に感じたこともあったのが、今では何ともありません。

QRコードによる電子決済システムレジの付近に、各銀行のQRコードが並んでいます

 また、カンボジアでは、現在もドル紙幣とカンボジアのリエル紙幣が併用されていますが、ドルで支払ったのにお釣りはリエルで受け取る、ということが日常茶飯事です。そうすると、お釣りを確かめるのに時間がかかってしまうのですが、QRコード決済にすると少額の紙幣を携帯する必要もなく、お釣りの心配も全くいりません。本当に素晴らしいシステムだと思います。

 最近では、ASEAN加盟国での取り引きも発展し、越境決済の拡大が検討されているようです。現在、一部の国(タイやマレーシア、ベトナム)では、すでに「KHQR」が利用できるようになっているところもあるようですが、今後はASEAN加盟国に限らず、中国や韓国のQRコード決済も利用可能になるそうです。実際に、先日タイに行った際は、まだ、QR対応している銀行とそうでない銀行があるようでした。でも、これが利用できるようになると、本当に便利だなと思います。両替をする必要もない上、ATMを探して現金を引き出さなくても良いのです。

QRコードによる電子決済システムド田舎の食堂でも、トゥクトゥクでも、タイのお寺でもQRコードが利用できます

 私は、テクノロジーに強い方ではなく、最初はあまり興味がなかったのですが、コロナ渦によく利用していたカフェが、ある時から現金での支払いを受け付けなくなったことをきっかけに、QRコードを利用し始めました。使ってみると、あまりの便利さに、現在は現金をほとんど持たなくなりました。先日、久しぶりに日本から友人が遊びに来たのですが、このQRコード決済の普及には非常に驚いていました。

 実は、この金融機関によるQRコード決済の普及など、これまでに銀行のさまざまな改革やサービス向上を行ってきた方がいます。まだ40代前半のカンボジア人女性チア・セレイ氏です。これまで彼女の父親がカンボジア国立銀行の総裁だったのですが、今年の7月、女性で初めて国立銀行の総裁に就任しました。もちろん、父親の影響というのはあるのでしょうが、単なる親の七光りではなく、彼女自身がとてつもなく優秀で、素晴らしい業績があることを、皆、知っています。このような人が、国立銀行のトップに就任でき、それを受け入れる社会であるカンボジアはとても希望がある国だなと感じています。もちろん、この国は貧富の差が激しく、まだまだ厳しい環境での生活を余儀なくされている人たちがいることも事実です。ですが、若者が多く、活気にあふれて、多くの若いリーダーが誕生しつつあるこの国には大きな希望、そして明るい未来があると感じます。また、厳しい環境下でも、「家族がいれば幸せ」と、素敵な笑顔で逞しく生活しているカンボジアの人たちを見ると、「国際協力」や「豊かさ」、「幸せ」とは何なのかということも改めて考えさせられます。

 皆さま、これまでの間、私たちのコラムを読んでいただき、ありがとうございました。オークンチュラン!


(以下、関西Actualizersのメンバーから一言ずつあります。)

 8年に渡り、海外出張に行く際の英語や外国人のお客様を迎える英語、映画、英文法など、様々なトピックでお伝えさせて頂きました。ありがとうございました。 私達は、皆さまの背中を何かしら後押ししたいという思いから出発しましたが、何かの後押しやキッカケになっていれば幸いです。ありがとうございました。またどこかでお会いできれば嬉しいです。皆様の今後のご発展を心よりお祈り申し上げております!<Carol>

 この8年間、関西Acutualizersのコラムをご愛読いただき、誠にありがとうございました。英語や外国に興味を持つ一助となれたことを心から嬉しく思います。コラムは終了いたしますが、今後も皆様のご活躍を心から応援しています。 <Jessica>

関西Actualizers(アクチュアライザーズ) プロフィール

2015年4月設立。経験を通じて、「海外留学や海外生活を考えている人たちの背中を押したい」と考える関西のグループです。 海外生活をする、外国人を迎え入れることにあたって知っておくと良い事や役立つ情報などを発信しています。
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