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コスト削減 購買・発注の見直し提言

「うまい、やすい、はやい」は、あの吉野家がかつて一世を風靡し、現在も企業文化として位置付けているコンセプトである。品質の良いモノを、安い価格で、必要な時に(たったいま)ご用意してみせる、サービスの三原則ともいうべきQCDを顧客に対して端的かつ直接的に宣言しているけだし名言である。これほど仕事の本質を言い当てた言葉は他にないのではないか?と、私はいつも感心してしまう。

QCDの中でどれが優先事項となるかは、それぞれの仕事が持つ前提や目的によって異なる。どれだけ期間や費用が掛かろうとも、要求される機能や安定性を満たさなければならないのであればQ(Quality)が、とにかく一銭でも安く作らなければならないとなればC(Cost)が、予め決まった日程ならばD(Delivery)が最優先事項となる。たとえ、どんなに良いものが出来上がったとしても、クリスマスにひとつだけ必要なものが、除夜の鐘が鳴ってから大量に出来たのでは仕様がない。

しかし、一般的にそれが仮に仕事ならば、QCDどれひとつとして疎かにして良いということはない。やはりQCDは、揃い踏みを目指すことが暗黙の合意事項となる。 興味深いことに、このQCDすべてに関係する大事がある。それは時間である。良い品質は(鮮度が要求されるものは別として)丹念に時間をかけて作ることで生まれる。コストは早く作ることで抑制可能となる。そして、納期は時間との戦いである。全てに時間が関係している。時間をうたった格言や諺は枚挙に暇がない。

かける時間は、ただ短ければ良いというわけではなく、長ければ良いというわけでもない。物事には加減やタイミングというものがある。ここでテーマとしている購買業務では「必要なものを、必要な時に、必要なだけ」(just in time)、調達することが求められる。
遅いのはもちろん論外だが、早過ぎても何かと害となることが多い。早すぎると、スペース(置き場所)の問題、品質の劣化、管理ごとの増加、キャッシュフロー悪化などが問題となる。もしかすると、早すぎて良いことは意外に殆どないのかも知れない。それほどタイミングが大事ということである。

「コストダウン!」というとすぐに「値引き」や「ロット買い」が頭に浮かぶのが人情かも知れないが、やはりプロのバイヤーならば、その様なショートカットだけでなく、「タイミング良く適量を調達する」ことによって実現したいものである。タイミング良く適量を調達することは、直接的な材料費だけでなく、あらゆるコスト(管理費、廃棄料、各種間接費…)の削減につながっていくものである。

言うまでもないが、購買業務というものは決して単独では成り立たない。 部品や材料をタイミング良く現場に供給するには、まず在庫管理が欠かせない。頻繁に必要となるものは、ある程度まとまった数量を在庫として準備しておくべきである。逆に、すぐに調達出来るものは、場当たり的に「都度買い」した方が得策である。要るか要らないか分からないものは、充分に用心して購入せねばならない。
何れにしても、「いま何がいくつあるか?」「近い将来に何が必要で、それがどの様に消費されていくのか?」、実在庫だけでなく、未来の在庫(有効在庫、推定在庫)を可能な限りつかんでおかなければならない。

在庫管理をうまく運用する為には、生産管理が欠かせない。
必要な部品や材料を揃える為には、どのような製品を、いつ、どれだけ製造(計画)するか?その為にはどのような部材がいつ、どれだけ必要となるのか?需要と供給のバランスを計画しなければならない。
そして、生産管理をスムーズに運用する為には、信頼の出来る販売管理(受注管理)が欠かせない。仕様や納期、数量、そして注文そのものの見込みを早いタイミングでつかみ、関係部門で可能な限り情報共有をしておくことが肝要である。生産活動の根幹である受注条件が簡単に変わるようでは、購買業務どころか、工場業務が全般的にグラついてしまう。従って、購買管理は在庫管理、生産管理、販売管理という3つのシステムと有機的な連携を持って運用してこそ成り立つと言っていい。

少し思い返して欲しい。あなたの会社は購買、在庫、生産、販売を、どのように管理しているだろうか。
個々にシステムを利用し、生産性を上げることをシステムの部分最適化という。システムの部分最適化は個々の業務レベルを向上させるが、これだけでは各業務間に生産性の偏りが生じるため全体的には生産性は上がりにくい。この偏りが大きくなればボトルネックとなり、全体の業務の流れにストップをかけることになりかねない。

改めて言うが、購買管理は在庫管理、生産管理、販売管理という3つのシステムと連携を持って運用されてこそ成り立つものである。システムの部分最適化を担保しつつ、業務機能全体の効率や生産性を最適化する、いわゆる「システム全体の最適化」を行うことで初めて購買・発注管理がスムーズに流れ、生産性が上がる。

そして、今やIoTの時代。購買・発注管理において、システム全体の最適化を行うだけでは不十分である。これからの購買管理は自社の系列や固定化されたサプライチェーンだけではなく、張り巡らされたインターネットから適宜に情報を取り込み、分析し、最適なパートナーやサプライヤーを選択し調達することが当たり前になるだろう。これでこそシステムの生産性を最大化するための「システム全体の最適化」であり、「コスト削減の実現」ではないだろうか。

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