生産管理システム・クラウド型EDIサービス|Factory-ONE 電脳工場の「エクス」

人とITの新しい協働のかたち
―株式会社エクス 代表取締役社長 抱 厚志

IT技術の革新によって、世界は大きく動いている。
特にものづくりの分野では、インダストリー4.0やインダストリアル・インターネットなどの新しいコンセプトが登場し、「第4次産業革命」の到来が取り沙汰されている。

企業を中心に上下左右のつながりを構築

第4次産業革命のキーワードは“AI(人工知能)”と“IoT(Internet of Things)”の2つであり、IoTによって現場のデータはリアルタイムに収集され、クラウド上のAIが企業の枠組みを超えたサプライチェーンの全体最適化し、マスカスタマイゼーション(個別大量生産)による製品価値やキャッシュフローの増大を目指す。

このインダストリー4.0やインダストリアル・インターネットでは、「つながる工場」「スマートファクトリー」「考える工場」などのコンセプトが強調されるが、その中心は(1)付加価値ネットワークを通じた水平統合と(2)垂直統合とネットワーク化された生産システムであり、目的はその企業を中心に上下左右のつながりを構築することにある。

(1)付加価値ネットワークを通じた水平統合

企業を中心に、市場、顧客、外注・仕入先との連携を構築するアプローチであり、一般的にはSCP・SCM、需要予測、ネットワークBOM、B2Bマッチングなどが該当する。特にSCMでは単なるEDI(電子商取引)だけではなく、ISO(品質)やBCP(事業継続計画)、生産計画共有など、従来よりも一歩踏み込んだ関係強化を目的とした構築が求められる。また市場との連携もマスカスタマイゼーションを前提としたクラウド上でのBOM共有(ネットワークBOM)やB2Bマッチングサイトなどを利用した「開かれた資材調達」が重要になってくる。

(2)垂直統合とネットワーク化された生産システム

垂直方向の上位に座るのはここ数年で飛躍的な進歩を遂げているAIである。現在のAIは第三世代と呼ばれるが、機械学習やディープラーニング(深層学習)などの最新技術により、これまでに立ちはだかっていたフレーム問題などを解決の方向に導きAIの実用化を推し進めており、その急激な進歩は「2045年問題」とされるシンギュラリティ(技術的特異点)出現で、社会の形を変えてしまうとの予測も出るほどである。

情報社会はビッグデータ形成で終焉を迎え、これからはビッグデータの解析から有益な知見を引き出す知識技術が企業競合力となる知識社会の到来を感じさせる。

そして垂直方向の下位に位置するのはIoTやMES(製造実行システム)であり、2020年前後のトリリオン・センサー社会(1年間に1兆個のセンサーが使われる時代)の到来で、設備や工具、工場内インフラ、場合によっては人の行動までもがインターネットに接続されて、リアルタイムに情報が収集されることになるであろう。収集された情報はAIによって解析され、全体最適を前提とした現場へのフィードバックが行われる。これをCPS(サイバーフィジカルシステム)という。

新技術と人間の「新しい協働」の形

この垂直と水平の連携において、十字架のクロス部分に位置するのが、企業内の「生産管理システム」である。

「つながる」ためには、その企業内に確固たる点が必要で、生産管理システムが水平垂直の中心に座る点となり、今後はその重要性が増していくであろう。そのためには、生産管理システムも従来の構内や企業内に閉じた閉鎖的なシステムではなく、つながることを前提とした開放的なシステムへと変わらねばならない。

今後の生産管理システムは、インダストリー4.0やインダストリアル・インターネット対応のコアシステムになることと並行して、水平垂直につながるための拡がりを持つ「生産戦略プラットフォーム」としての役割が求められると考えられる。

弊社は生産管理システムベンダーであるが、こうした時代変遷の先を行くために、昨年、知的ものづくりプラットフォーム『EXtelligence』の開発計画を発表し、その第1弾として戦略的SCMツール『EXtelligence EDIFAS』をリリースした。本年8月には主力製品『Factory-ONE 電脳工場MF』と『EXtelligence EDIFAS』をコンポーネントした『Factory-ONE 電脳工場SC』をリリースし、まずは水平方向のつながりを提供している。

現在はB2Bマッチングサイトの開発などで水平連携の強化に取り組みながら、産学連携などでAIやIoTの垂直連携の可能性を模索している。

今後もAI、IoT、3Dプリンタ、ロボット、テレマティクスなどの新技術により、社会の形は変わり、人間の働き方や企業経営に求められるものも変わってくるであろう。

「2011年度にアメリカの小学校に入学した子どもたちの65%は、大学卒業時に今は存在していない職業に就くだろう」と言われており、新技術による職種の統廃合が進み、新技術と人間の「新しい協働」の形が求められる。

その新しい協働に向けて、今から「ヒト・モノ・カネ」などのリソースの育成に取り組む企業が、これからの時代を牽引していくことは間違いない。

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