株式会社 アールエスタイチ 代表取締役社長 松原 弘 氏 インタビュー

モータースポーツといえば、ホンダやトヨタ等の自動車メーカーが色々なカテゴリーで活躍を見せますが、バイクのレースは発祥地である欧州で大変人気があり、優秀な日本人ライダーは国内よりもむしろ世界での人気が高いです。
世界選手権では過去にも日本人チャンピオンが誕生し、2輪の世界において日本人は突出している存在ではないでしょうか。

そんな世界で活躍する2輪レーサーや一般のバイク愛好家の安全性、快適性を世界規模で提供する企業があります。
今回は大阪府大東市に本社を置き、高品質なライダースギアを世界に向けて提供し続ける、株式会社アールエスタイチ 代表取締役社長 松原 弘 氏にインタビューをさせていただきました。

【エクス編集員】
御社がライダースギアを開発することになった、きっかけをお聞かせいただけますでしょうか。

【松原氏】
創業者にあたる現会長の吉村太一が日本を代表するトップレーサーだったんです。
現役ライダーとしての活動を1974年に引退し、1975年に創業したのですが、
1971年に吉村が世界選手権に挑戦していたんです。
その時に彼はライダーが身に着ける装具に対しても拘りが高かったですし、
世界を転戦するなかで日本には無い良い製品を目の当たりにしたんです。
それを日本に広めたいということと、無いものは自ら製造して提供したいという情熱があって、
始まったのがアールエスタイチなんです。

当時、バイクにスポットをあてたショップはたくさんあったのですが、
そんな中「人間」にスポットをあてて“ライダーズスポットタイチ”といったネーミングにし、
バイクを通して「人」が集う場になれば良いというアプローチからも、当時の彼の想いが現れているのではないでしょうか。

【エクス編集員】
御社の製品コンセプトには「安全性と快適さの追求」というものがありますが、
御社の考える安全性と快適さはどういったものでしょうか。

【松原氏】
非常に難しいところではありますが、まず当社が優先したいところは“安全性”なんです。
ファッション性だけが高く、安全性の低いものは全く弊社として望むものではありません。
安全性があって且つ快適性がある。
私の思う快適性は安全性を感じることによって得られる快適性なんです。
バイクというものは危険なものなので、乗るときには「安全に乗る」という一種の覚悟というか、そういった心構えをもって乗っていただきたいんです。

昔の武将が鎧を着るような儀式とまでは言いませんが、プロテクターのついたジャケットを身に着けて安全に乗る。
その時になるべく暑いときには涼しく、寒いときには暖かく、そして運動性も確保されている。
その考慮がしっかりされたものが、安全性と快適性の両立されたものだと考えております。


【エクス編集員】
御社の根底にはレーサースピリッツがありますが、
松原代表がお考えになられる、それはどのようなものだとお考えですか?


【松原氏】
レーサーの魂のひとつはまず、勝つこと。そして少しでも速く走るということです。
そうするとそこには究極の機能が求められます。勝つことに対して妥協しない。
ですから我々も提供するものに対しては決して妥協はしません。
レーサーはコンマ1秒を削るために、様々な努力を重ねます。
そこには一切の妥協もありません。製品の品質向上、それが勝利に繋がるのであれば、
我々も一切の妥協はしません。それが我々のいうレーサーの魂だと考えております。


【エクス編集員】
現在、市場でもとめられているライダースギアは、
どのようなものがあると考えられますか?トレンド等はありますか?


【松原氏】
まずオートバイギアには大きなトレンドというのは存在していないんです。
しかし、以前は20代の層のライダーが中心だったのですが、
バイクを買う中心世代が、現在では50代なんです。社会的な地位や家庭もある層ですので、
とりわけ大好きなオートバイで怪我をしてそれらを守ることができなくなってはいけない。
ましてや命を落とすことなどがあってはいけない。といった意識が優先されるわけなんです。
そうなるとやはり求められているのは安全性です。安全性の高いものがトレンドだと言われればそうなのかもしれませんが、
比較的、安全面に関しては意識の高くなかった20代のライダーが中心だった頃も、
もちろん命を粗末にするなんて意識はなかったわけで、そういう意味では時代の流れによって
極端な流行があるということではなく、安全性を求めるという面はいつの時代でも普遍なものだと思っております。

【エクス編集員】
2輪のレースの話になりますが、バイクメーカーをはじめ、ライダースギアを提供する国内企業が活躍しています。
御社を含め日本のメーカーが欧米発祥の文化であるモーターレースの世界で支持される由縁は何だと思われますか?

【松原氏】
オーバイもそうですが、我々の提供するライダースギアの分野においても繊細な分野だと思います。細かなディテール部分。例えばグローブであればフィット感であったり、1ミリ単位で我々は妥協せずに作りこみます。
欧米のメーカーさんともビジネスでお付き合いをさせていただいてはおりますが、そのあたりがやはり意識が少し違っているようには感じます。
我々は世界一うるさい日本のユーザーに支えられていますので、そこで鍛えられ作られたものを海外へもっていった場合、海外のユーザーも今まで問題にしてなかった細かな仕事に魅力を感じ、
評価していただけます。
ハーレーやドカティといった大手海外オートバイメーカーにも日本の部品が使われているように、
モーターレースの世界では後発とはいえ、やはり日本人の細やかな仕事が
海外でも評価されるのはそういったところではないでしょうか。

【エクス編集員】
アールエスタイチの今後のビジョンを教えてください。


【松原氏】
ゴールというものはないですが、ものづくりという点においては、
オートバイという素晴らしい乗り物を、より安全に楽しんでいただけるようなウェアづくりを目指します。
オートバイを乗るうえで転倒する危険性はつねに隣り合わせです。
もしも転倒してしまった場合、ライダーの衝撃を最小限に食い止める安全性、
そしてその上に成り立つ快適性。
そこに関しては一切の妥協を許さずに、探求を続けていきます。

企業としては、我々はオートバイという共通の趣味のもと集った仲間たちなので、
辛いことがあったとしても、その共通の趣味を通してお互いが楽しみながら乗り越えていける。
今いる社員、そしてその家族も幸せになれる。

そしてお客様にもその楽しさを共有して頂ける企業を目指して
これからも精進していければと思っております。




~取材を終えて~
今回、取材をするにあたり本店の雰囲気や契約プロライダーのレーシングスーツをメンテナンスしている
工房内の雰囲気も見せていただくことができました。
あたり前のことですが、作業中のスタッフの皆様の顔は真剣そのもの。
でもスタッフのみなさんからは、どこか楽しんで仕事をしている雰囲気が伝わってきました。
取材窓口になってくださった営業部販売促進課の藤本淳一 氏がおっしゃられていたのは、
「バイクが好きだけではできない仕事なんです。好きが故に現実とのギャップが大きく感じることも多く、
それを乗り越えて楽しさを見出すことができたスタッフがこの仕事を支えています。」ということでした。
やはり根っこの部分はバイクが好きで集った仲間。真のプロフェッショナルたる由縁はそこにバイク愛があるのではないでしょうか。
今後のアールエスタイチも目が離せません。

【アールエスタイチ】