株式会社ビッグジョン 広報室インタビュー

日本のジーンズの聖地、岡山県倉敷市。そこで生まれるジーンズは国内のみならず、
今では世界でも注目されるものとなりました。
そんな聖地に本社を置き、日本で初めてジーンズを国内製造をしたのが
株式会社ビッグジョン。他の競合大手メーカーのブランド力に引けを取らない、
これまでの歩みと今後の展望について、広報室にインタビューさせていただきました。

【エクス編集員】
ビッグジョンは日本を代表するメーカーですが、
ジーンズを製造するきっかけは何でしたか?

【ビッグジョン広報室】
当社は1940年にマルオ被服(株式会社ビッグジョンの前身)として創業し、
当時は学生服や作業服、防寒着やユニホームを製造する縫製会社でした。
しかし60年代に入り学生服や作業着の需要が低下し、
それにともなって在庫が膨らみ経営の危機に面しました。
なんとかこの危機を乗り越えるために目をつけたのがジーンズでした。
ジーンズは戦後にアメリカ進駐軍の払い下げ品として国内に広まっていき、
アメリカ輸入中古衣料として人気を博していました。
アメリカ人が穿き古した中古ジーンズを日本人の体型に合うようにリメイクし
販売するとたちまち完売していきました。


その光景を目の当たりにし、学生服からジーンズに切り替える決意をします。
貿易の輸入自由化が1963年に解禁され、
翌1964年には当時日本では手に入らなかったデニム生地の手配に東奔西走し、
ついに1965年にアメリカからデニム生地や糸、
ボタンやジッパーなどすべてアメリカから輸入して日本で初めてのジーンズ製造に成功しました。
これは元々学生服や作業服など厚手の生地を縫う完了や技術を保有していたので、
ジーンズ製造に切り替えていくことも比較的問題なく移行できました。

【エクス編集員】
国内外には多くのデニムメーカーがありますが、
ビッグジョンが他社にはない試みとして展開していることは何ですか?

【ビッグジョン広報室】
1965年に日本で初めてジーンズを作って約半世紀が経ちました。
この約50年の間で岡山県倉敷市は「ジーンズの聖地」として日本国内はもちろんのこと、
世界でも広く知られるようになりました。
50年前、デニム生地すら国内になく、
アメリカのジーンズを手本とし悪戦苦闘してジーンズ製造を行ってきましたが、
今やデニムは岡山がトップだとも言われています。

これまでは本場アメリカと比較して歴史が浅く、日本のジーンズの歴史は軽視されてきましたが、
逆に世界から注目されることによって国産ジーンズ史を掘り下げていく試みもなされています。
それゆえ当社ではまったくゼロから新しいものを製造するのではなく、自社の歴史を尊重しそれを基盤としつつ、新しい技術やトレンドを加えていくという独自の手法を展開しています。
言うなれば「温故知新」ですが、当社では「伝統と革新」というコンセプトを持って、
過去と現在、そして未来へとどう融合し、つなげていくかという目線でものづくりを行っています。
1960-1970年代に発売したモデルを見直し、現代の素材やフィットにあうよう改良を加えたモデルが現在のBIG JOHNの中心ラインナップとなっています。

【エクス編集員】
デニム製品の魅力は何だと思いますか?

【ビッグジョン広報室】
ひとことで言うなら「一番やっかいなファブリック」だから魅かれていくのだと思います。
デニムは「縮み」「ねじれ」「色移り」「伸び」と素材や織り、
染色等の方法によって個々に様々な特徴を持ちます。
古い織機で織ったものであれば10%以上も縮みが発生するものもあります。
こういったデニムならではの特徴を理解し、パターンや裁断、縫製や加工まで管理していかねばならず、
一朝一夕には習得できない特異な分野といっても過言ではありません。
当社も長い歴史の中で様々な素材を扱ってきましたが、デニムほどやっかいな素材はありません。
しかしそれゆえ奥深く魅力的でもあるのではないでしょうか。

【エクス編集員】
昨今の消費者が求めるジーンズとは何だと思いますか?

【ビッグジョン広報室】
以前はジーンズ業界でも大きなトレンドが2年周期ほどで訪れていましたが、
ここ10年はそれほど大きな流れがなく、消費者の好みが以前よりさらに細分化されているように思います。
デザインやシルエット、価格や購入する場所など、消費者に個々の志向があり、
我々メーカー側としては的を絞りづらい状況にあります。
今まではトレンドというくくりの中で方策を練ってきましたが、
それが「対個人」として変わってきているのだと思います。

本来ジーンズは大量生産、工業製品として側面が強いので
特定の個人を想定してものづくりを行うのには不向きなのかもしれません。
とりわけ小売りを持たない当社としてはどうしても消費者と隔たりが生じますので、
その距離感をどう縮めるかが今後の課題だと思っています。
商品というハードを用意するのはメーカーとして当然のことですが、
今後はそのハードをいかに消費者に価値を持って迎えられるかというソフトづくりが重要だと感じています。
前述したように「歴史を活かす」というのもそのひとつですし、オンラインによるサービスの拡大や、
3年保証のセミオーダージーンズ「ブリコサービス」もその具体例のひとつとなります。

【エクス編集員】
現在ビッグジョンが最もおすすめする商品は何ですか?

【ビッグジョン広報室】
ずばりRARE JEANSです。

1980年から作り続けているビッグジョンのフラッグシップモデルで、
2010年の創業70周年を機に大幅にリニューアルしました。
当社がジーンズ製造に関わり始めた黎明期から協力していただいている方々とともに
現代の技術を余すことなく注いで「世界最高峰のジーンズ」を目指した逸品です。
綿の選定や配合から始まり、特許の染色方法、旧織機を調整した織り、
将棋の駒をモチーフにしたパッケージなど細部までにこだわり抜きました。
近年海外戦略を進めている当社ですが、ビッグジョンを語るうえでまずこのRARE JEANSは外せません。
RARE JEANSのストーリーは海外のバイヤーにも深く共感していただき、
そのクオリティーの高さに会社としての信頼度も同時に上がり、即ビジネスへと直結しています。

【エクス編集員】
ビッグジョンの今後のビジョンを教えてください。


【ビッグジョン広報室】
これまでと同様、日本国内での認知向上を図るのはもちろんのこと、
近い将来としては世界へと広くBIG JOHNの名を知っていただくのが目標です。
4年前から海外事業部を新設し、先進諸国で開催される合同展示会を中心に出展してきました。
また海外の有力ブランドやショップともコラボレーションを行うなどブランド認知に努めてきました。
その成果もあって現在では欧米のセレクトショップにBIG JOHNが置かれ販売されています。
JAPAN DENIMのパイオニアブランドとして紹介され、欧米のバイヤーから高い評価を得ています。
今後は先進諸国で高めたブランド力をアジア戦略へ活かし、ブランドライセンスによるビジネス拡大を図っていく予定です。
日本国内、欧米、アジアとそれぞれの地域とビジネス規模に合った戦略を行いつつも、
ひとつの統一したブランドとしてイメージの統一化を図っていき、
どこの地域へ行ってもBIG JOHNのジーンズが店頭に置かれ、
街ではBIG JOHNのジーンズを穿いた人々の姿を見たいと夢を描いています。



~取材を終えて~
もしBIGJHONがジーンズを製造していなければ、国産ジーンズは生まれなかったでしょうか。
おそらく遅かれ早かれ別のメーカーが立ち上がり製造をはじめていたかもしれません。
しかし、学生服の製造からいち早く国産ジーンズの製造に切り替えたBIGJHONの機転の速さが
他の日本のデニムメーカーを牽引し、本場アメリカジーンズの品質をも凌いでいく原動力となったことに違いはないと思います。
その精神をもってこれからも新たなジーンズの可能性を切り開いていくような底力を、
この取材から感じることができました。

今後もBIGJHONの展開から目が離せません。

【BIG JOHN】