リーマン・ショック直後にアメリカの中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(FRB)が大胆な利下げを行ったこともあり、2012年11月時点のダウ工業平均はリーマン・ショック以前の水準を超えるまでに回復した。自動の新車販売台数もほぼ 「財務省の緊縮財政・増税主義に加えて、アフター・コロナにおける日本経済のV字回復の不安要素を、もうひとつあげるとするなら、それは日銀です」。日本でコロナ・ショックによる経済危機が叫ばれた当初、日銀は株価対策しかしていなかったように思えるからだと主張する、経済一筋50年のベテラン記者・田村秀男氏に、その理由について話を聞きました。, 日銀の黒田東彦総裁が、3月16日に打ち出した緊急金融緩和政策は、株価指数連動型上場投資信託(ETF)の新規買い入れ年間枠を、6兆円から12兆円に増やすというものでした。, 一方、アメリカではそれとほぼ同じタイミングで、FRBのパウエル議長が無制限の国債購入を決定しています。, 「この危機を乗り越えるために、いくらでもドルを刷るぞ」というメッセージを発信したFRBのパウエル議長に対し、日銀の黒田総裁が打ち出したのは「おカネは刷るけど、それは株価を支えるためのものだよ」というメッセージだったわけです。, はっきり言って、これは「経済対策」の名に値するものではありません。「緊急株価対策」とでも称したほうがしっくりきます。日銀が巨大株式投資ファンドになったようなものです。, ひと昔前なら、日銀総裁は「法皇」とまで呼ばれ、記者たちは会見場に総裁様が現れる時には「全員起立、礼」という具合でした。, 日銀にはおカネを刷り、資金の供給を受けた民間金融機関が融資を拡大して経済成長を促す、という大切な役割があります。そのため「最後の貸し手」や「物価の番人」とも呼ばれました。株価が下がったときの対応を質問しようものなら「株価対策なんてもってのほかだ。汚らわしい!」と言わんばかりに、じろりとにらみつけられたものです。, 日銀が3月16日に緊急金融緩和政策を打ち出した1週間ほど後、私は都内某所でたまたま某日銀幹部に出くわしたので「コロナ恐慌だというのに、株買いで済ませるとは、日銀も大口投資家になってしまったんだね」と皮肉を言いました。すると彼は「いや、国債をいくらでも買うつもりはありますよ」と、しきりに弁解していました。, 日銀がカネを刷ってETFに投資すれば、ETFを通じて株式市場に巨額の日銀資金が流入するため、当然株価は上がります。しかし、それは通常の需要と供給の関係による株価上昇ではないので、効果は長続きしません。痛み止めの麻酔を打っているようなものです。, もっとも、日本は資本主義社会ですから、基本的には株価が上がるのは良いことだと言えます。株価が下がり過ぎると、私たちの年金を運用しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)が破綻するなど、さまざまな弊害が生じますから、株価を下げないにこしたことはありません。, 株価下落局面では、個人も機関投資家も逃げ腰になりますから、株価を下支えしてくれる日銀は彼らからすると、まさに“救世主”でしょう。, なので、私も日銀が株価対策をすることを全否定するつもりはありません。ただ、いかにもそれが日銀の政策の“本筋”であるかのように言われると「何をバカなことを」と言いたくなります。, 特に今回のコロナ・ショックのような緊急事態時に、日銀が打ち出すべき経済対策の“本筋”は、やはり無制限の国債購入です。日銀の本格的な量的緩和政策を、政府の財政出動と組み合わせることが最も重要なのです。, 「日銀も、ひと月以上後になって無制限の国債購入を決めたのだから、よかったじゃないか」と思われるかもしれませんが、まだ安心はできません。, 確かに日銀の黒田総裁は、4月27日の記者会見で「政府の緊急経済対策で国債が増発されることを踏まえ、買い入れ上限を設けずに必要な額の国債を購入する」と表明しました。これを多くのメディアが「日銀もFRBのパウエル議長に追随して、無制限の国債購入を決めた」という見方で報じました。, しかし、パウエル議長と黒田総裁、両者が表明した「無制限の国債購入」は、実は中身が異なります。, パウエル議長の「無制限の国債購入」には、トランプ政権が景気の落ち込みを最小限にし、さらに経済のV字型回復を目指して、大規模な財政出動を行う。その際、無制限にまで増発されるかもしれない国債を、FRBが市場から買い上げて国債相場を安定させる用意がある、というニュアンスがこめられています。, 一方、黒田総裁は当日の記者会見で質問を受けて「長期国債の金利をゼロ%程度で安定させるために、必要なだけいくらでも買う」と追加で説明していました。ようするに、国債ゼロ金利を維持するための「無制限の国債購入」なのです。, 日本の場合、銀行や生保など金融機関の国債需要が大きいので、日銀が積極的に国債を購入しなくてもゼロ%金利を維持できます。, 国債購入のターゲットがゼロ%金利維持では、アメリカのようなスケールの大きい金融緩和は期待できず、これまで通りの戦力の逐次投入の域を出ません。戦力を小出しにするようなやり方では、やはりインパクトに欠け、メッセージ性も弱くなります。, 米欧の指導者たちが、第二次世界大戦後最悪と恐れるコロナ・ショックについて、日本だけが財務省や日銀という組織の論理に振り回され、国家経済の命運を左右する財政・金融政策を決めています。, これでは、平時の経済政策をわずかに拡げただけで、効果に乏しいカネの使い方しかできません。こんな調子では、日本だけがコロナ・ショックによる不況から脱出できなくなる恐れあります。, 根本的な問題として日本に欠けているのは、社会や経済の危機的な局面の際には、財政と金融の両輪を組み合わせて、力強く回転させるという政治サイドの決意です。, それは今回のコロナ・ショックに限った話ではありません。リーマン・ショックの時もそうでした。世界経済が打撃を受け、各国がそこから財政・金融の拡大によってV字回復(あるいはそれに近い回復)を実現していくなか、日本だけがその波に乗り遅れ、経済停滞の一途を辿っているのです。, 「V字」ではなく、経済が落ち込んだまま横ばいで上がらない「L字」になってしまっています。コロナ・ショックでも同じ失敗をすれば、今度はL字どころではすまないかもしれません。, 景気は“気”ですから、景気を回復させるには、長年の景気低迷とコロナ・ショックで落ち込んだ国民の“気分”も、回復させる必要があります。, これまでの政府の緊急経済対策は、企業や家計の支援、経済的な弱者の救済が中心でした。当然それらも大切ですが、ゴールはやはり経済成長でなければなりません。そのためには、もっと惜しみなくカネを使う必要があります。, 日本にはカネがあり余っています。日銀統計によれば、2019年末で政府純金融負債679兆円に対して、家計と企業(金融機関を除く)の現預金合計は、なんと1288兆円。政府の債務よりも国民の預貯金のほうが、およそ590兆円も多くあります。, 国内で使われないおカネは「輸出」、すなわち金融機関等を通じて国外に投資されて、対外債権になります。財務省の統計によると、2019年には日本の対外純債権が過去最高、世界第1位の364兆円に達しました。, これが、日本が世界一のカネ貸し国たるゆえんです。しかも、日本円は、ドルや金といつでも交換できるハードカレンシー(信頼度の高い国債通貨・決済通貨)なのです。, その豊富なカネ資源をもってすれば、日本は国債発行でコロナ・ショックを楽々と乗り切れるゆとりがあります。思い切って100兆円の国債を発行したところで、国内に余っているおカネだけで十分にまかなえるのです。, インフレを心配する声もあるかもしれませんが、もともと20年以上も需要不足で慢性デフレが続いているので、インフレ懸念は微塵もありません。, 問題は政府や日銀に、この世界最大のカネ資源を国内向けに活用して、コロナ・ショックからの克服や、脱デフレ・経済再生を実現する意思があるかどうかです。当然それには政治的な決断が必要ですから、結局は政治家たちに、やる気があるかどうかにつきます。, まず政治家が発信しなければならないのは「コロナ・ショックからのV字回復を絶対に実現する」という国民に希望を与える“メッセージ”と、そのための具体的な“道筋”です。, トランプ大統領を見ても分かるように、それを絶えず発信し続けるのは政治家として当然の姿勢です。官僚が用意したペーパーをただ読み上げているだけでは、経済成長に対する意欲や情熱がまったく伝わってきません。そもそも、それを用意した官僚たちは、経済成長のことなど考えていないわけですから。, 細部にこだわる官僚たちに任せていては、政策に必要な“スピード”も失われてしまいます。緊急事態だと言っておきながら、国民に10万円を配るだけでモタモタしていたことは、記憶に新しいところです。, 国民一人当たり10万円の一律現金給付の総額は、日本の人口を1億2600万人とすると12.6兆円。これは、日本の家計の平均年間消費額約300兆円のおよそ4%に相当します。ということは、大雑把に計算して、全国民に10万円を配るのは、1年間に限り消費税を5%に戻すのとほぼ同じことです。, ならば、面倒な手続きの国民一律の現金給付よりも、消費税を減税したほうがスピーディかつシンプルに、同じような生活支援の効果が得られます。, もちろん、10万円の現金給付が不必要だったと言いたいわけではありません。まずは消費税を減税して、緊急事態の生活支援にひとまず“スピード”重視で対応し、あとから現金給付を行って支援を手厚くしていくこともできた、ということです。, 消費税は、減税する場合に限っては、公平・公正な税です。消費税の増税は、高所得者よりも低所得者のほうが負担の大きくなる逆進性があり不公平です。, しかし、その税率を大幅に下げることは、低所得者や子育てなどで大変な現役世代の負担軽減につながります。そういう意味でも景気回復・経済成長のために、消費税の税率を下げていくことは重要なことです。, 日本経済再生のめどが立つまでは、継続して消費税率を少なくとも5%まで下げるべきだと私は考えています。思い切って消費税率を0%にしても、必要な財源は国債で調達できます。, これまでの緊急経済対策のような戦力を小出しにするやり方では、国民の“気分”は変化しません。それは過去の大型補正予算の例からも明らかです。景気回復につながるほど国民の“気分”を回復させるには、財政政策と金融政策の両輪をフル稼働させ、合わせて消費税の減税を行うくらいのインパクトがある政策を、打ち出す必要があります。, それぐらいしなければ、コロナ・ショックからのV字回復と、それに続く日本経済復活への“道筋”を国民に示すことなど到底できないでしょう。, そもそも家計の消費意欲は、2014年4月に消費税率が8%に引き上げられた時から減退していました。それがさらに、2019年10月の消費税率10%への増税で、致命的なまでに委縮したわけです。, しかし、日銀も財務省もその事実を無視しています。増税をして、緊縮財政をして、景気が悪くなったら、補正予算を組んで小出しの対策をする――これがいつもの財務省のやり方ですが、それで景気がよくなった試しなどありません。, 財務官僚OBの黒田東彦日銀総裁や、財務省の御用経済学者たちは、金融緩和によって消費税増税にともなう需要減をカバーできると、安倍首相(当時)に唱和しました。しかし、それが真っ赤なウソであったことは、すでに明らかになっています。彼らはそれに対して恥じ入ることも、反省の意を示すこともしていません。, コロナ・ショックのインパクトでうやむやになっていますが、日本の場合、デフレ不況下での消費税増税を繰り返し、新型コロナウイルス以前から個人消費を押し下げてきたわけです。にもかかわらず、コロナ・ショックで家計がどのようなダメージを受けようとも、消費税率10%という“足かせ”を外そうともしません。, おそらく政府(財務省)や財務省の御用学者、マスコミは当分の間、日本経済のマイナス成長を新型コロナウイルスのせいにすることでしょう。そのような論調にだまされてはいけません。日本経済のマイナス成長は、今も昔も“人災”なのです。, ※本記事は、田村秀男:著『景気回復こそが国守り 脱中国、消費税減税で日本再興』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。. リーマンショックとは2008年に米国のリーマン・ブラザーズ・ホールディングスが経営破綻したことがきっかけとなり、世界的な金融危機が発生したことを称してリーマンショックと呼ばれています。 元凶はサブプライムローンと言われる、低所得者向けの住宅ローンです。 サブプライムローンを利用することで、本来ならローンを組むことができない人や、返済能力が乏しい人でもお金を借りて住宅を購入することが出来ました … ここで分かるように、リーマンショック後の先進国経済の動きは、極めて深刻な景気後退と緩やかにしか進まない景気回復に特徴づけられる五大危機と比較しても芳しくない。一番堅調な米国経済でも五大危機並みのゆっくりとした回復であり

<ここがポイント!> バブル崩壊とウイルス感染では景気回復が違うはず トレンドを変えない必要条件は財政出動 市場動向は不透明だが、正常化し始めれば回復は早いと予想 バブル崩壊とウイルス感染では景気回復が違うはず 【リーマン・ショック】 金融市場でバブルが発生して崩壊した

リーマンショック後の10年間で世界経済は大きく変化。とりわけ以下の3点。 ① 成長率が低下。中国の高成長一巡、世界的な過剰貯蓄、潜在成長率の低下など が背景。一方で、過熱感なき「適温経済」を実現し、景気後退リスクを リーマン・ショック以前は売り手市場だった就活も、リーマンショック後は買い手市場へ変わり、就職できない学生が増えました。 そして、2010年~2013年卒業の大学生の就活は「就職氷河期」と呼ばれるようになりました。 目次 1 リーマンショック後の本格下落時期 1.1 リーマンショック発生から本格下落までタイムラグがある? 2 リーマンショック後の株価回復時期 2.1 相場の世界では悪いことが続く 2.2 暴落直後はリバウンドしても叩かれるのが普通 3 まとめ リーマン・ショックの時もそうでした。世界経済が打撃を受け、各国がそこから財政・金融の拡大によってV字回復(あるいはそれに近い回復)を実現していくなか、日本だけがその波に乗り遅れ、経済停滞の一途を辿っているのです。 世界経済は、この5年間で、世界経済危機、欧州債務危機という2度に及ぶ深刻な危機に陥った。この間、先進国経済が大きく落ち込む一方、中国、ASEAN等をはじめとする新興国は高い経済成長を示し、リーマン・ショック後の世界経済の成長をけん引してきた。2011年以降、新興国の経済成長に陰りが見られたものの、IMFによれば1、先進国経済の回復を受けて、2014年には新興国も回復へと向かう見通しである(Ⅰ-1-1-2図)。経済成長の鈍化が指摘される中国は、年率7%台と相対的には高い水準を維持 …