古代ギリシャの哲学者プラトンによる『国家』の中に、今の社会を予言するような描写がある。曰く、父親は息子を恐れ、息子は両親の前で恥じる気持ちも恐れる気持ちも持たない。教師は生徒を恐れてご機嫌を取り、生徒は教師を軽蔑する。若者は年長者と同様に振る舞い、年長者は若者に合わせてご機嫌を取る。犬は飼い主のように行動し、馬でさえも出会う人をよけずにぶつかってくる──。, 自由と平等が広く行き渡る社会では、すべての人が強い権利意識を持つようになる。すると、ほんの少しの抑圧にも我慢ができず、エリート層への不満をためる。そこに、高い大衆人気を誇るポピュリストが颯爽と現れ、不満をためる民衆を熱狂的な渦に巻き込む。そして、独裁者が生まれていく。僭主独裁制が生まれるのは民主制以外にはあり得ない。それを語るために、自由と平等を手にした人間の姿を描いたのだ。, 社会的分断が加速している米国を見ると、プラトンが予言した民主制の最終形に近づいているように見える。このまま社会の亀裂が拡大し続けるのか、それとも市民を熱狂させる独裁者が現れるのかは分からない。ただ、少なくとも言えるのは、今回の大統領選の勝者が米国を融合させることはなく、人々の中に残ったしこりが今後4年にわたってさらなる火種になることだ。, 11月3日、米国で大統領選の投開票が実施される。JBpressはこれまで、大統領選に関する記事を数多く公開してきた。そういった記事をひもときつつ、今回の大統領選を巡る論点と今後について改めて整理しよう。, 【本記事には、JBpressのこれまでの記事へのリンクが多数含まれます。配信先ではリンクが切れている場合がありますので、JBpressのサイト(https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/62758)にてご覧ください】, まず、ジャーナリストの堀田佳男氏が「米大統領選徹底予測:バイデン勝利の信憑性は」や「学者が予測する米大統領選の勝者とは」で紹介しているように、世論調査会社や政治学者、統計学者など大統領選の勝者を予測している人々の多くはバイデン候補が勝利すると見ている。, もっとも、4年前も大半の調査会社は「ヒラリー勝利」と予測したが、結果はトランプ大統領が勝利した。今回も数字上はトランプ大統領の劣勢だが、選挙の直前にバイデン候補の息子ハンター・バイデン氏に不祥事が浮上したこともあり、激戦州を中心にトランプ陣営も巻き返しつつある。, ハンター氏にまつわる疑惑については、ジャーナリストの福島香織氏による「バイデン息子スキャンダルの裏に『中国の仕掛け』説」や小川博司氏の「バイデン親子が「中国で儲ける説」の裏付けが続々」にあるように、副大統領時代のバイデン候補の威光を海外企業とのビジネスに活用したという疑惑だ。, もっとも、大手メディアの大半は信憑性に乏しいと積極的に報じず、ツイッターやフェイスブックなどのソーシャルメディアもハンター氏の疑惑を報じたニューヨーク・ポストの記事にアクセス制限をかけた。当然、トランプ陣営やトランプ支持者からは怒りの声がわき起こる。プラットフォームか、メディアなのか──。今回の問題はソーシャルメディアを巡る本質的な問題に再び光を当てることになるのではないか。大手メディアの「バイデン推し」については、ジャーナリストの古森義久氏が「トランプ感染を大喜び、バイデン推し偏向報道の異様」で詳述している。, また、エリート知識人のための政党と化した民主党が抱える矛盾を指摘する論考も出ている。在米ジャーナリストの岩田太郎氏は「バイデン支持の知識層は4年前の「失敗の本質」に学んだか」という3回シリーズで、労働者の党を標榜しつつも労働者に敵対し、寛容を掲げながら非寛容で、黒人の味方を装いながらも放置すると民主党の偽善を喝破している。, こういった記事を読み解けば、ワシントンDC在住の酒井吉廣氏が「激戦州ではかなりの接戦、バイデン楽勝ムードの虚実」で書いたように、選挙人を巡る争いは接戦と見るのが妥当だろう。, また、今回の大統領選では結果判明が長引く可能性も指摘されている。その最大の要因は郵便投票の存在だ。そもそも郵便投票はコロナ禍の中、投票所に行くリスクを減らすための手段として活用が進められた。ただ、米国の郵便事情に日本ほどの信頼性はなく、二重投票や投票用紙の盗難リスクが囁かれていた。, 先の酒井氏が「大統領選の投票結果を破壊する3600万票の行方」で指摘するように、連邦最高裁はペンシルバニア州の郵便投票の有効期限を11月6日まで延期すると発表した。投開票が終わった後に、続々と届く郵便投票が選挙結果に影響を与えないと思う方がおかしいだろう。投票用紙のサインの本人確認をしない州もあることを考えれば、激戦州の結果を両陣営がすんなりと受け入れるとは思えない。20年前のジョージ・ブッシュ候補とアル・ゴア候補のように選挙結果を巡り裁判になることも十分にある。, それでは、選挙後に何が起きるか。最悪の事態は「米大統領選、2割が支持候補負けたら抗議・暴力も」で描く抗議活動の激化と暴動だ。既に、トランプ支持の武装集団(ミリシア)が投票所で威嚇するという懸念も出ている。仮に、投票結果を巡り暴動が起きれば、米国の民主主義史に重大な汚点を残すことになる。, 今回の大統領選はトランプ政権の4年間に対する審判であると同時に、プログレッシブ(進歩主義)と呼ばれる民主党左派による“革命”という面もある。バイデン候補は元来、中道左派の政治家だが、予備選を戦う中でサンダース上院議員を支持する層を獲得するためプログレッシブにシフトしている。中には、バイデン候補はプログレッシブの操り人形であり、大統領選で勝利すれば用済みになるという指摘まである(大統領になれば用済みになるバイデン候補の悲哀)。高齢で健康不安を抱えるバイデン候補が4年間の任期を務め挙げることができるかどうかは分からない。ハリス副大統領候補への禅譲シナリオも現実味を帯びる。, いずれにしても、大統領選後の混乱は避けられそうもない。それは、米経済やマーケット、世界情勢に大きな影響を与えるだろう。将来的に、フランスの思想家・経済学者のジャック・アタリ氏が「米中衰退のコロナ後はGAFAMが超大国になり得る」で指摘するように、イデオロギー分断など自国内に山積する問題に専念するため、国際舞台の中央から退くことになるのかもしれない。あるいは、用田和仁氏の語る米中の本格衝突(「始動、中国の息の根止める三重の包囲環構想」)が現実になる可能性もある。, ※「JBpress」に掲載している記事や写真などの著作権は、株式会社JBpressまたは執筆者などコンテンツ提供者に帰属しています。これらの権利者の承諾を得ずに、YouTubeなどの動画を含む各種制作物への転載・再利用することを禁じます。. トランプ→バイデン でも、バラ色の世界は戻ってこない . トランプ氏は直後に陣営を通じて声明を…  米大統領選でのジョー・バイデン前副大統領(77)の当選確実が報じられた7日午前、ドナルド・トランプ大統領(74)は首都ワシントン郊外でゴルフをしている最中だった。 お使いのブラウザはJavaScriptに対応していないか、または無効になっています。詳しくはサイトポリシーのページをご覧ください。, 米大統領選でバイデン前副大統領の当選確実が報じられ、チリやアルゼンチンなど中南米の大統領らは相次いでバイデン氏と副大統領となるハリス氏を祝福するメッセージをツイッターなどに投稿した。一方、トランプ氏と関係の近いブラジルのボルソナーロ大統領は、当確が報じられてから4時間あまりがたってもメッセージを発していない。, ボルソナーロ氏は投票翌日の4日、「私の姿勢ははっきりしている。トランプ氏の再選を信じている」と発言。選挙中にバイデン氏がアマゾン火災について言及したため、ボルソナーロ氏は「内政干渉だ」と批判していた。, だが、バイデン氏勝利の公算が大きくなった6日、ボルソナーロ氏は「私がブラジルで最も重要な人物ではないように、トランプ氏は世界で最も重要な人物ではない。最も重要なのは神様だ」と軌道修正していた。, また、トランプ政権で厳しい経済制裁を科されたキューバのディアスカネル大統領は「犯罪的な経済封鎖でキューバをひざまずかせようと夢見る者がいる」という故フィデル・カストロ氏の言葉をツイッターに投稿したまま、更新しなかった。8日午前にバイデン氏を米大統領として承認するとツイッターに投稿。「違いを尊重した、建設的な二国間関係が可能だと信じている」とした。, 米国と対立を深めているベネズエラのマドゥロ大統領は、バイデン氏の当選確実が報じられてから約6時間後、祝福のメッセージとともに「米国との対話と理解の用意はできている」と投稿した。(サンパウロ=岡田玄), ※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。. All Rights Reserved. All rights reserved. お使いのブラウザはJavaScriptに対応していないか、または無効になっています。詳しくはサイトポリシーのページをご覧ください。, 米大統領選でのジョー・バイデン前副大統領(77)の当選確実が報じられた7日午前、ドナルド・トランプ大統領(74)は首都ワシントン郊外でゴルフをしている最中だった。トランプ氏は直後に陣営を通じて声明を発表し、「この選挙はまだ終わりにはほど遠い」と主張。大統領選で勝敗が決まった後に伝統的に行われてきた「敗北宣言」を拒否した。, トランプ氏は同日午前10時半過ぎ、自身が所有するバージニア州の「トランプ・ナショナル・ゴルフクラブ」に到着。「Make America Great Again(米国を再び偉大に)」というロゴ入りの帽子をかぶり、ゴルフをした。ゴルフ場入り口にはトランプ氏とバイデン氏のそれぞれの支持者たちが集まっていた。, トランプ氏は大統領選前から選挙で負けた際の敗北宣言を拒否していたが、この日の声明でも改めて拒否。トランプ氏は今回の大統領選を「不正選挙」と主張し続けており、声明でも「我々の陣営は選挙法令が完全に守られ、正しい勝者が就任するように訴訟を遂行していく」と語り、法廷闘争を続ける考えを強調した。ただし、いずれの訴訟も具体的な証拠は示しておらず、次々と敗訴しているのが現実だ。, ※Twitterのサービスが混み合っている時など、ツイートが表示されない場合もあります。. Copyright © The Asahi Shimbun Company. 11月3日の米大統領選では、再選を目指す現職の共和党トランプ氏と、民主党の候補指名を確定させているバイデン前副大統領が対決する見通し。米国が直面する主要問題への対応や世界観が大きく異なる2人の候補者の間で、有権者は選択を迫られることになる。, 新型コロナウイルスの流行により、数千万の米国民が職を失い、過去最長となった米国の景気拡大局面が終わりを迎え、トランプ氏再選のための重要な論拠が損なわれることになった。, トランプ米大統領が2017年に実施した税制改革について、個人所得税の最高税率を37%から39.6%に戻すと公約。, トランプ政権の対中関税戦争は米国の消費者や農家にとって良くないと批判する一方、国内製造業を拡大し中国への依存を減らしたい考え。, 国内製造業の強化を望み、中国への攻撃を継続。新型コロナが流行する中で米国が世界で医療品の調達で困難に直面している事態は、海外からの調達をやめるべきだと米企業に促す理由の一つだと指摘している。, 2020年の米大統領選では、人種間格差や刑事司法のあり方が主要な焦点として浮上しているが、これらの問題についてトランプ氏とバイデン氏は対照的な立場を取っている。, 閣僚、司法関連人事のほか、副大統領候補の人選には米国の人種的多様性を反映させると約束。, 市民の権利を侵害した疑いのある警察部署についての監督が緩すぎるとトランプ政権を批判。, 警察予算の削減を求める一部の声からは距離を置き、より多様な人材を警官に採用し、コミュニティーと敵対的関係を築かないようにする研修を行うため、3億ドルの投入を約束。, ミネアポリスで黒人のジョージ・フロイドさんが警察官に首を押さえつけられ死亡した事件を受けて全国で起きた抗議デモに対して、「法と秩序」を強調し、連邦軍の投入も辞さない構えを示した。, 警察改革や法整備を促す大統領令にも署名。この中で、警察組織に最新の「武力行使」の基準を採用するほか、薬物中毒やホームレスなど暴力的ではない事案については、法執行機関としての対応にソーシャル・ワーカーの派遣を含めることを促している。, 死刑廃止のほか、独居房や、保釈金の支払いが完了するまで起訴済みの被告を収監し続けるやり方の撤廃を訴えている。, また、州単位での量刑の下限引き下げと引き換えに、子供の虐待や基礎学力の欠如といった社会的問題の改善のため200億ドルの資金提供を約束している。, 量刑の下限引き下げを定め、服役中の収監者に対する薬物中毒治療ブログラムを拡充し、素行のいい服役囚の刑期短縮を認めた2018年の超党派の法案に署名。, 犯罪に強硬姿勢で臨む一部の政策を支持しているが、これらの政策はマイノリティーへの影響が不均衡に大きい。また、連邦裁判所が判決を下した死刑囚の刑執行再開を求めるものだ。, 賃金格差を巡る提訴を容易にする法律の制定を訴える。また、ローンの貸し出しや、住宅購入機会を公平にする保護制度の導入、差別的な都市のゾーニングを削減した自治体に対する3億ドルの資金提供などを提言。, 新型コロナウイルスへの感染による死者に、黒人が不均衡に多い理由を調査するタスクフォースの設置も約束した。, 自身の人種政策について語るときに、新型コロナウイルスの感染拡大前に黒人の失業率が記録的低さになったことに言及することが多い。, バイデン氏は、大多数の公立大の学生に学費無料化を提言しており、これは公立の歴史的黒人大学にも適用される。また、こうした大学による研究機関の設立や学費援助を支援するため700億ドルの拠出を約束している。, これらの大学への恒久的な資金を確保する法律に署名しており、ホワイトハウスによるとその額は2億5500万ドルになる。また、連邦政府が提供する奨学金の予算を拡大した。政権は、黒人大学の奨学金や研究資金を積み増す諮問機関を再設置したと強調している。, 新型コロナウイルスの感染拡大で多数の死者が出る前から、医療保険制度は米有権者の最大の関心事の1つだった。だがコロナ禍は、両候補者の医療保険政策の大きな違いを際立たせることになりそうだ。, オバマケアの拡充を約束。バイデン氏が提案する医療保険制度には10年間で7500億ドルが必要になる見通しで、バイデン陣営は富裕層への増税で財源を賄うとしている。, 国民皆保険「メディケア・フォア・オール」は支持せず、65歳以上の米国民が対象のメディケア(高齢者医療保険)のような公的保険を、民間保険に代わる選択肢として作る案を提唱している。, 米議会共和党がオバマケア撤廃に失敗したことを受け、トランプ氏は大統領権限や裁判所への訴えを通じてオバマケアの無効化をはかってきた。, 民主党が多数を占める下院が昨年可決した、民間保険会社と同様にメディケアも薬価の交渉ができるようにする法案を支持。トランプ政権は、医薬品の研究開発にかける製薬会社の資金が削られるとして、同法案が議会を通過した場合には拒否権を行使するとしている。, 薬価が一般的に低い外国でのコストを基準とすることで、一部のメディケア医薬品の薬価を引き下げることを提案したが、実現していない。, メディケアの対象年齢を65歳から60歳に引き下げることを提案。実現すれば、米国人2000万人が新たに対象になる。, メディケイドの加入に就労などの条件を設ける案を支持するほか、メディケイドの支出拡大に上限を設けたり、メディケイドを包括補助金に転換する案も支持している。こうした提案が実現すれば、保険の適格者が減ると専門家は指摘する。, 不法移民の取り締まり強化は、2016年大統領選でトランプ氏を勝利に導いた政策の肝であり、現在も政権の重要課題となっている。バイデン氏は、自身が大統領となったときには現政策の大半を撤回すると公約している。, バイデン氏は、トランプ氏が一部の外国人の「グリーンカード(永住権)」取得を当面の間阻止する大統領令に署名したのは、新型コロナ対策の失敗から人々の目をそらすためだと非難。, 一部の外国人が「グリーンカード」を取得することを当面阻止する大統領令に署名。この理由について、新型コロナ流行による経済低迷の中、米国人の雇用を守るためだと説明。, 国防予算を転用して国境の壁を建設することを止め、代わりに通関手続地の審査システムの改善などに重点を置いて国境警備を強化する計画を提案。, 壁の建設はわずかにしか進展していない。メキシコ政府は建設費の負担を拒否したため、結果として米政府が費用を支払うこととなり、その一部は国防総省の予算が含まれる。連邦裁判所の記録によると、トランプ政権は壁を建設するための土地の収用を急いでいる。, 軽微な移民法違反であれば親を訴追しない意向。バイデン氏は現在の政策を「脅迫戦術」と非難しており、親から引き離されたままの子どもたちを再会させることを優先するとしている。, 不法入国を取り締まるために2018年にトランプ大統領が打ち出した「ゼロ・トレランス(不寛容)」政策では、メキシコ国境で拘束された親や保護者から数千人の子どもたちが強制的に引き離される結果となった。, 政府はこの政策を抑止策と表現したが、批判の広がりを受け、トランプ大統領は不法入国した親子を引き離して拘束する措置をやめることを定めた大統領令に署名することとなった。しかしその後も数百人の子どもたちが成人の親族から引き離された。, 新型コロナの流行が始まってからは、政府は法的な手続きなしに、未成年を含む移民たちを早々に「追放」するようになった。, 「ドリーマー」の強制送還を猶予するDACAプログラムの廃止は「残酷」だとして、撤回を公約。また、彼らが大学に行けるよう、連邦政府による学資援助の資格を得られるようにする意向を示した。, 米連邦最高裁は6月、DACAプログラムの廃止を求め上訴していたトランプ政権の訴えを棄却した。DACAに保護されている若者は64万9000人前後とみられる。, 同プログラムを巡っては、地裁がトランプ政権による2017年のDACAプログラムの廃止は違法と判断。最高裁判決はこの地裁の判断を支持したものだが、トランプ政権が再び同プログラムの撤廃に動くことを阻止するものではない。, 判決を受け、トランプ大統領はプログラムを廃止するために最高裁に文書を提出するとしたが、具体的な内容には触れなかった。, イスラム圏7カ国から米国への渡航を禁止する大統領令に署名。バイデン氏を含む人々からイスラム教徒に対する差別だと批判された。当初は連邦裁判所に差し止められたが、最高裁は2018年に修正案の執行を認めた。この後、対象国は広がった。, 今回の大統領選は、環境規制と外交による気候変動対策に賛成するバイデン氏と、そういった規制を取り払いたいトランプ氏が対決。, トランプ氏は、オバマ前大統領による環境対策を撤廃し、エネルギー産業と自動車産業が規制に対応するために負担しているコストをなくそうとしている。バイデン氏は早期から気候変動に取り組んでおり、1986年には気候変動に関する法案を提出。外交を通じて世界各国の石炭への依存度を低減することを目指しているが、民主党内からは化石燃料の使用を減らすためにはさらに積極的な行動が必要との声が上がっている。, クリーンエネルギーなどのインフラに1期目の4年間で2兆ドル(約214兆円)を投資する環境政策を発表。2035年までに電力発電による温暖化ガス排出をゼロにすることを掲げ、従来の方針から目標達成時期を15年前倒しした。, 選挙キャンペーンのウェブサイトには気候変動に関する政策は掲載されていないが、エネルギーと環境のセクションには、オバマ政権時代の規制を撤廃したことが成果として挙げられている。, 2017年、就任2カ月後にトランプ大統領はオバマ前政権による基準の緩和を発表。「業界を死なせる規制を撤廃するために寝る間も惜しんで働く」と述べた。これ以降、トランプ政権は規制をさらに緩和させている。, 党内のよりリベラルな層は全国的なフラッキングの禁止を求めている。フラッキングは温室効果ガスの排出を増加させるが、その一方で米国を世界の石油・ガス生産業者のトップに押し上げ、雇用を生み出している。バイデン氏はこの狭間で慎重になっている。, 「美しく、クリーンな石炭」の復活をビジョンとして掲げている。石炭は燃えたときに排出される二酸化炭素が最も多い。, 大気と水質規制を緩和する計画は発表したが、任期中に石炭発電所の閉鎖を止めるには至らなかった。豊富な天然ガスと、風力・太陽光電力が安くなったことが理由だ, 2015年の地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」への復帰の意思を表明している。, 中国に次ぐ世界第2位の温暖化ガス排出国ながら、パリ協定からの離脱手続きを開始。米国民にとってコストがかかりすぎるというのが理由だった。, トランプ氏は2016年の大統領選で「米国第一主義」を掲げ、自身が不公正と主張する他国との通商関係を覆し、安全保障で同盟国により多くの費用を負担させると約束して勝利した。バイデン氏は米国を世界のリーダーとして復活させ、トランプ大統領が行った外交政策の多くを巻き戻すことを約束している。, 農産物に対する関税は撤廃するとしているものの、不当廉売(ダンピング)だとする鉄鋼、侵害していると主張する知的財産権の分野は強硬路線を取る方針。, 米国に雇用を取り戻すとして中国からの輸入品に関税をかけたが、貿易戦争は米国の農家に打撃を与え、製造業の雇用に犠牲をもたらした。, 米中は1月、貿易協議で「第1段階の合意」に達したが、トランプ氏はロイターとの4月のインタビューで、新型コロナウイルスによる経済への影響で「とてもひどく狂わされた」と語った。, 今年1月にイラクの基地に駐留していた米軍をイランが攻撃した後、米軍はトランプ大統領の命令でイラン革命防衛隊のカセム・ソレイマニ司令官を空爆で殺害した。バイデン氏はこの空爆について「米国とイランを衝突に向かわせる」と語った。, 中東への軍事介入で米国が得られる利益、特に2003年のイラク戦争を疑問視してきた。, しかし、米軍撤退によってイランとの緊張が高まったことで、トランプ氏はより多くの部隊をこの地域に派遣してきた。1月にはイラクで米軍がイランから攻撃を受けた後、大きな影響力を持つイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害するよう命じた。, イランが核開発計画に対する制限措置を順守すれば、外交を通じて取引し、核合意に復帰するとしている。, バイデン氏は、見返りがほぼないのに金正恩政権に対する影響力を手放すとして、トランプ大統領のやり方を批判。前提条件のない会談には応じない方針を示している。, 2018年と2019年に計3回、金正恩・朝鮮労働党委員長と会談した。しかし、金委員長に核開発計画を放棄させる試みは行き詰まっている。, トランプ大統領が傷つけた米国のリーダーシップと信頼を取り戻すため、北大西洋条約機構(NATO)のような同盟関係を強化するとしている。, 米国南部の国境へ移民を向かわせる貧困と腐敗を解消するため、中米に40億ドル投資する計画を打ち出している。, 欧州のNATO加盟国、その他の同盟国を怒らせてきた。一方で、プーチン大統領を非難することは、2016年の大統領選挙にロシアが介入したと情報当局が判断したした際も拒否してきた。, トランプ氏は選挙活動の中で、バイデン氏がキューバとの関係回復を約束したことを批判。バイデンが民主党の左派をなだめるために、キューバとベネズエラの国民を「売り渡している」と主張している。, フェイスブックやグーグルといった巨大IT企業への規制は、大統領選挙を前に大きな話題になっている。, シリコンバレーに友好的だったオバマ政権時代に副大統領を務めたバイデン氏は、選挙キャンペーンでフェイスブックなどの巨大ITを批判。アマゾンのような企業に対し、一定の連邦税を課す提案をしている。, フェイスブックのような企業を解体することについて、バイデン氏は「真剣に検討すべきことだ」と述べている。, アマゾンとその最高経営責任者(CEO)ジェフ・ベゾス氏をたびたびバッシングしながら、アップルのティム・クックCEOとは会談するなど、トランプ大統領とテクノロジー企業との関係は複雑だ。巨大ITについて質問されると、「独占という点については何かが起こっている」と語っている。, トランプ政権は主要なIT企業の独占禁止法調査を広範囲に行っているが、大統領もバイデンも、解体を求めることまではしていない。, バイデン氏は政治広告や情報操作された動画の方針を巡り、フェイスブックと衝突してきた。ユーザーが投稿したコンテンツに対する法的責任を免除する通信品位法230条の撤廃を求めてきた、唯一の民主党大統領候補である。, さきごろファイスブックに呼びかけ、大統領選挙の2週間前に政治家の広告の事実確認(ファクトチェック)をするよう求めた。, インターネットが2016年の大統領当選を後押ししたが、トランプ氏はIT企業が保守派を検閲していると、何の証拠もなく非難している。, ツイッターは5月、トランプ氏のツイート2つに初めてファクトチェックを促すラベルを貼った。トランプ氏はその後、節度あるコンテンツかどうかを監視する新たな規制の大統領令に署名。ソーシャルメディアのプラットフォーマーへの規制を強めるため、通信品位法230条の撤廃、あるいは弱めることを支持している。専門家は、この大統領令は訴訟に耐えられそうにないとみている。, Joseph Ax, Elizabeth Culliford, Timothy Gardner, Trevor Hunnicutt, Jason Lange, Simon Lewis, Jeff Mason, John Whitesides.