>参戦前の計画や情報や戦後への準備において誤りがあったとして謝罪の意を示した(ロイターより)  その前に、この映画が「そもそも戦争に加わるとはどういうことか」を考えるきっかけの一つになれば――ということですよね。ただ、今の日本の状況を見ていると、そうして考えるための場をつくる、表現作品を通じて「伝える」こと自体が、非常に危うくなっているように感じます。映画上映や写真展開催などが、「抗議を受けた」ということで中止に追い込まれるケースが各地で相次いでいますよね。, 綿井 仮に戦争になった場合日本も参戦すると思うんですけどアメリ.  「私が取材した〈イスラム国〉」  例えば、病院や遺体安置所などのつらいシーンも出てきますが、それをただ「こんな悲惨なことが起きています」というだけの場面にはしたくなかった。その前後にどういうことがあったのか、家族を失って泣き叫んでいる人たちがどういう人生を送ってきたのか、そういうこともあわせて描こう、と考えました。あるいは、頬を銃弾が貫通した人、爆弾で足を失った人など「生きている人の傷」を撮るときには、生々しい傷口をアップで捉えたりもしています。あの痛々しさと傷こそがまさに「戦争」のリアリティなのであって、そこは避けずにちゃんと直視しておくべきだと思ったからです。  そのためには、受け手の側も「いや、私はそれを見たいんだ」とちゃんと伝えていく必要がありますね。, 綿井  それともう一つ、ある男性が言う「今の状況を招いた責任は私たち市民にもある、私たちが黙っていたからこんなことになったんだ」という台詞も、今の日本に暮らす人たちに伝えたかった言葉です。政治状況に従順に黙っていると最後は大変なことになりますよ、ということですね。単に「戦争はいけません」というのとはちょっと違うレベルでの言葉、実際に戦争を体験した人、それによって傷を負った人の重い言葉をベースに、「あの戦争は正しかったのか」をもう一度考えてみてほしい、と思ったんです。, 編集部 イラク戦争の開戦について、当時、イギリス、アメリカの情報によると、大量破壊兵器があり極めて危険である。そのため、日本も開戦を支持をして開戦しましたが結局はありませんでしたよね?このことについて、イラクに対して謝罪や責任、 イラク戦争自体は実質50日もありませんでしたが、空爆などによってイラク国内で多くの死傷者が出ています。 日本では、当時の小泉首相がアメリカの支持を表明しました。 湾岸戦争はイラクが強かったころの戦争、イラク戦争はイラクが弱体化した時の戦争ですよね? 私の不勉強というか、失念していたのですが、質問してから調べてみると、  一つ言えるのは、いったん戦乱が起きてしまうと、それを止めるのは非常に困難だということですね。  映画上映や写真展だけではなくて、大手メディアについてもそうです。今、朝日新聞へのバッシングが大きくなっていますが、ああいうことがあると、大手メディアが萎縮してしまう。慰安婦の問題なんて、これまでもそれほど取り上げられなかったのに、さらに誰もやらなくなっていってしまうでしょう。いくら「マスコミはダメだ」とか言われていても、大手メディアが何を伝えて何を伝えないかというのは世論形成にも大きな影響を与えます。大手メディアの中で頑張っている記者やディレクターたちをどう応援できるかは、小さいネット媒体などをどう支えていくかと同じく大事な問題だと思います。, 綿井 どう考えているかを、聞いています。.  綿井監督×池田香代子さん(翻訳家)によるトーク, ■10/28(火)13:00の回上映後  日本で上映する以上、あの場面は見せておきたいと思いました。単に「イラクは大変ね」で終わる話ではない、私たち日本人もこの戦争に直接的に関与しているんですよ、とイラク人から突き付けられている。そのことを、もう忘れている人もいるでしょうし、これからはますます忘れられていくでしょうから。 このことについて、イラクに対して謝罪や責任、反省はしていますか? 欧米や日本の中東への介入が「イスラム国」を誕生させた責任があるというのならば、「イスラム国」を壊滅させ、中東全体の人権を守らなければならない義務を果たすべきだという論理を提示されたら、日本の中東への介入を批判する人々はどのように反論すべきだと考えますか?  例えば、2009年ごろから12年ごろの間は、少し宗派抗争も落ち着いて、イラク市民の犠牲者の数もそれまでに比べれば減っていたんですよ。それが昨年の夏ごろからまた情勢が怪しくなり、「イスラム国」のような過激なグループが出てきて、今年の夏には米軍の空爆が再開されて…。戦争や内戦というのは、少し収まったように見えても、何かのきっかけでまたすぐに悪化してしまうものなんですね。シリアやイランなど、周辺国の状況にも非常に左右されるし…。その中では、一般市民としては何もどうしようもない。ただ常に、日々の生活を綱渡りのように生きていくので精一杯なんですよね。, 編集部 もっとも既に引退している人の発言でどこまで政府内部の認識かは分かりませんが・・・, ※各種外部サービスのアカウントをお持ちの方はこちらから簡単に登録できます。 武力による人権の回復という手段を忌避するならば、代案をもって中東の人権問題を解決しなければならない、あるいは人権という概念の限界を認めなければならないでしょう。 イギリスについては計画や情報に誤りがあったと言っていますので、インテリジェンスの精度については当時折りも向上していませんかね?  ただ、表現者が大上段に構えて「表現の自由だ」と叫んでも、実際に抗議の声と対峙しなければならないのは会場の支配人や受付の人だったり、警備に当たる人だったりするわけで…そこの部分も含めて守らないといけない。例えばある一つの展示施設が抗議を受けて中止に追い込まれたら、別の展示施設が「じゃあ、うちでやります」と手を挙げると、そういう横のネットワークで、なんとか表現の「場」を確保していく、「見る、見せる」「聞く、聞かせる」「知る、知らせる」人と場所と機会を守る。そして何か問題が起きても、「こういうことが起きています」と世の中に可視化させていく。その表現をする人を支えよう、提供しよう、多くの人に観てもらおうという、意思ある人たちと場所と機会を孤立させない、それしかないと思うのです。, 編集部 テロリストを軍事演習したアメリカ、同時多発テロはその仲間の反イラク勢力 なぜ湾岸戦争からイラクの石油, アメリカは、ベトナム戦争で負け、アフガニスタンでは、ランボーがアルカイダに戦闘訓練、イラクと長い戦争, イランとアメリカの戦争なのになぜイラクが戦場になるんですか?  いくら優れた作品がつくられても、発表する場がなければ意味がありませんよね。そうした動きに、どう対抗していけばいいのか…。, 綿井 この下りがありますので、謝罪はないですが大きな課題として残され反省とその対策の必要性は認識されているような気がしてきました。, 回答いただきありがとうございます。  ポスターやCMなども含め、ちょっと抗議が来たら「謝罪・中止」「回収・撤回」というパターンが非常に多いですね。それも――これはとても日本的だと思いますけど――「どんなお詫びをしたか」が重視されて、「謝ってない」「謝罪の仕方がなってない」といった批判がされる。本来なら、何がどうまずかったのかをちゃんと説明するとか、「批判を受けているけど、我々はそうは思わない」と反論するとか、そういうせめぎ合いやプロセスのほうが社会にとって重要だと思うんですが、それがない。  今回のこの映画を、直接的に集団的自衛権と結びつけるのは、もしかしたら「後付け」かもしれません。ただ、過去の戦争から学ぶ――戦争というものが起こったときに、どういう事態になるのかを考えるきっかけになれば、とは思います。  昨年イラクに行く前は、なるべくこの10年を「生き抜いてきた人」を描きたい、と考えていたんですが、実際に現地入りしてみると、以前に取材した相手の中にも、すでに亡くなってしまっていた人がいました。最初は愕然としたけれど、僕にはやはり「撮影する」ことしかできません。その亡くなった人たちも含めた「10年後」のイラクを描こう、それも単なる追悼物語や「かわいそうな人たちの話」では終わらせない、日本の人から見て「遠い国の戦争」というだけにはならないものにしよう、とずっと考えながら取材をしていましたね。, 綿井 また、サーバの維持費ですが月額1000円で全世界に発信できますし、WikileakesやWikipediaに投稿すればサーバの維持費すら不要な時代ですし昔とは全く異なる時代になっているのではないかとも思ったりするわけです。, 回答いただきありがとうございます。 今回の攻撃についてはその反省が生かされていますか?