PUT ON 代表 大山記世 氏 インタビュー

大阪市内にPUT ONという帽子のお店があります。全てハンドメイドでつくられ、そこで生み出される帽子の数々は、どこか個性がありつつも普段の生活に馴染む魅力的なものばかり。海外出展により、ワールドワイドにメディアにも取り上げられ、高評価を得ています。
今回はそのPUT ON代表の大山記世氏に、帽子づくりへの思いをインタビューさせていただきました。

【エクス編集員】
人が身につけるものとしては、衣服はもちろんのこと、
靴や手袋、アクセサリー等もありますが、帽子を選んだのは何故ですか?

【大山 氏】
特に帽子をやりたいと思っていたわけではなく、
高校を卒業してからは服のことを学びたいと思っていたんです。
ところが地元の高知にオーダーメイドの帽子屋を
女性一人でされているところがありまして、アシスタントを募集をしていたんです。
それが目に留まり気軽な気持ちで働き始めることになったんです。

帽子がどうやって出来ていくかもわからない状況で、その職場に入り1年ほど勤めたのですが、
東京に行きたいという想いがあり、帽子専門のサロン・ド・シャポーという学校に入りました。
その学校は日本の帽子の学校としてはとても由緒のある学校なのですが、
私の通っていた頃は、帽子自体が下火で私を含め8名しか生徒はいませんでしたね。

そんな学校生活も家庭の事情があり、2年あるところを1年で去らなければならなくなってしまったのですが、その時に働く場所として帽子の職人さんを紹介していただき、
それが本格的に帽子の現物をつくっていくことになったきっかけとなったんです。

そこでは縫製を教われる先輩がいなく、私がまだ少々縫える程度でしたが、
大きなコレクションで使われる帽子の製作にも携われ、
がむしゃらに現場でたたき上げられたという感じでした。
まだまだ無知ではありましたが楽しく感じておりました。

職人業を経て一人になり、自分の帽子をつくってみようと思ったとき、
日々デザインに暗中模索、苦悩する私がいました。そして今の自分があります。

【エクス編集員】
トレンドというものは常に移り変わっていくものだと思いますが、
今、帽子をかぶる人々のトレンドはどういったものだとお考えですか?

【大山 氏】
私はトレンドを全く気にせずやってきているんです。ひとつの帽子をつくるにあたり、
「心をこめる」ということと「自分がかぶりたくなる」という感覚を大切にしてきておりますので、
現代のトレンドを気にするというようなことはないですね。

例えば若年層の方々などがかぶられている帽子には、
ある程度時代のトレンドの流れがみてとれますが、
40代や50代の方々がかぶられている帽子には、
その人その人によってオリジナルのトレンドがあるように思います。
そういったオリジナルのトレンドをもった人たちに気にいってもらえているように感じております。

【エクス編集員】
今PUT ONで率先して取り入れているデザイン等はありますか?
PUT ONならではのオリジナリティはどのようなものでしょうか?

【大山 氏】
近々で製作しているものとしてはベレーになりますが、(ベレーに限らず全ての帽子がそうですが)
ポイントとしては、やはりどこにでもあるようなデザインのものを目指してはおりません。
かといって突飛なものすぎてかぶれないといったものではなく、
日常的に楽しんでもらえるような範囲のものをデザインするように心がけています。

かぶっていただいてこそ帽子ですので、
遊び心を加えつつ全体のバランスを考え、サイズもしっかり合う。
ということを大切にしています。

【エクス編集員】
長く、帽子のデザインに携わってこられ、海外、ヨーロッパを含む多数のメディアに取り上げられるなど、高い評価を得ているPUT ONですが、帽子のデザイナーになって「一人前になった!」
と感じる瞬間はどういった時ですか?

【大山 氏】
お客様に喜んでいただけた時や、褒めていただくことはありますが、
そうあっても私自身は一人前になったという感覚はあまりないんです。
ただ「こだわってつくってきたことに意味はある」という風に感じます。
今までやってきたことは間違いではなく、喜んでもらえるものだったんだと。そういう風に感じます。

【エクス編集員】
日本とヨーロッパでの帽子に関する感覚の違いは何だと思われますか?

【大山 氏】
日本の人は元々帽子の文化がありませんでしたので、
布の帽子がとっつきやすいといった面はあるかと思いますが、
ヨーロッパの方は型の帽子も好まれる方が多いと思います。
ここ2年ほどヨーロッパで出展するなど、自分がやってきたことを試すということをしてきましたが、
どこであっても、ひとつの帽子に関して感じてもらえるところは同じなんだという風に思いました。

【エクス編集員】
今後、日本人にどういう風に帽子と関わってもらいたいと思いますか?

【大山 氏】
洋服を選ぶように、選んでいただければと思います。
外出する時、靴は必ず履かなくてはならないものですが、
帽子はかぶるかかぶらないかは個人の自由といったアイテムです。
帽子はかぶることによって顔の額縁となって、洋服をより際立たせることができるものなので、
髪型を変えるよりも気軽に帽子を取り入れてもらえればと思いますね。


【エクス編集員】
今後のビジョンは?
【大山 氏】
PUT ONに来れば何かいいものが見つかる。
そういう風に思ってもらえる場所になりたいと思っております。


~取材を終えて~
流行に流されず、自分の感覚を信じてファッションの道を行くことはとても不安で、
人並みはずれた努力と信念がないと歩むことができない道だと思います。
しかし暗中模索し、世に生み出され多くの人に支持されるPUT ONの帽子は、
その闇を切り裂き、他の帽子にはない煌めきを放ち、帽子を被ることによって得られる幸せを届けます。
とどまることの無い、幸せの提供。これからもPUT ONから生み出される帽子の煌めきから目が離せません。

【PUT ON】